旭川地方裁判所 昭和49年(ワ)218号 判決 1976年1月21日
原告
宮字政利
ほか二名
被告
旭星運輸株式会社
主文
原告らの請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告らの負担とする。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 原告ら
「(一) 被告は、原告宮字政利に対し、金一、〇九四、二四九円および内金八九四、二四九円に対する昭和四九年七月三一日から支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
(二) 被告は、原告宮字ふさに対し、金六五五、六一三円および内金五八五、六一三円に対する昭和四九年七月三一日から支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
(三) 被告は、原告宮字景子に対し、金三九四、二一〇円および内金三一四、二一〇円に対する昭和四九年七月三一日から支払済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。
(四) 訴訟費用は被告の負担とする。」
との判決ならびに仮執行宣言。
二 被告
主文と同旨の判決。
第二当事者の事実主張
一 請求原因
(一) 事故の発生
次の交通事故により原告政利の被相続人(母)宮字めうは死亡し、原告三名は負傷した。
1 発生日時 昭和四九年三月二五日午後七時ころ
2 発生地 北海道十勝郡浦幌町字直別番外地国道三八号線路上
3 加害車
車種 大型貨物自動車(旭一一あ五二八五号)
保有者 被告
運転者 田中昇
4 被害車
車種 小型乗用自動車(帯五五そ四一四七号)
保有者 原告政利
運転者 原告ふさ
5 被害者 宮字めう(被害車の同乗者)
原告政利(同)
原告ふさ(被害車の運転者)
原告景子(被害車の同乗者)
6 態様
原告ふさは、宮字めうおよび他の原告二名を被害車に同乗させ、同車を運転して帯広方面より釧路方面に向つて走行中、本件事故現場付近において突然同車のハンドル操作が不可能になり蛇行を開始し、右側車線(加害車の進行車線)上に進入してしまつたが、加害車の運転者田中昇は右前方七五メートル手前でこれに気づきながらブレーキをかけて停車する等の事故回避の措置をとらず、漫然加害車を走行させ、加害車右前部を被害車左側面中央部に衝突させた。
7 結果
右事故により、
(1) 宮字めうは、事故現場において即死した。
(2) 原告政利は、頭部顔面左肩部胸部両膝部挫傷、左鎖骨骨折、左第二、三、四、五、六、七肋骨骨折の傷害を受け、次の加療を要した。
高野外科医院 事故の日である昭和四九年三月二五日から同年五月二五日まで入院治療(六二日間)、同年五月二六日から同年六月八日に至るも通院治療継続中。
(3) 原告ふさは、顔面裂創、頭部顔面胸部左大腿両膝部挫傷、左第五、六、七、八 九、一〇、一一肋骨骨折の傷害を受け、次の加療を要した。
イ 多田医院 事故の日通院(一日)、即日転医。
ロ 高野外科医院 事故の日から昭和四九年五月二五日まで入院治療(六二日間)。
(4) 原告景子は、頭部顔面右大腿挫傷、頭蓋骨骨折、右大腿骨頸部骨折の傷害を受け、次の加療を要した。
イ 多田医院 事故の日通院(一日)、即日転医。
ロ 高野外科医院 事故の日から昭和四九年五月二五日まで入院治療(六二日間)。
8 権利の承継
原告政利は、宮字めうの長男であり、事故当時めうには亡夫宮字要一との間に政利を含めて六人の子がいたので、めうの死亡により政利は六分の一の相続分をもつてめうの権利を相続した。
(二) 責任原因
田中昇は、被告会社の従業員であり、被告会社は、加害車を保有し、これを田中に運転させて自己の営業のため運行の用に供していたのであるから、その運行によつて生じた後記損害を賠償すべき義務がある。
(三) 損害
1 宮字めうの死亡による原告政利の損害 金三九七、三八九円
(1) 逸失利益
めうは、本件事故による死亡によつて得べかりし利益を喪失した。その金額は次のとおり金三、〇四二、五五〇円であり、同人は同額の損害を蒙つた。
イ 死亡時の年令 六六歳
ロ 余命年数 一五・二五年(昭和四六年簡易生命表)
ハ 就労可能年数 八年(余命年数の二分の一、年未満四捨五入)
ニ 年間総収入 金六五九、七〇〇円
ただし、昭和四七年度賃金センサス第一巻第一表の企業規模計女子労働者学歴計の所定内給与(一カ月金四四、五〇〇円―年間五三四、〇〇〇円)および年間賞与額一二五、七〇〇円の合計。
ホ 控除すべき年間生活費 金一九七、九一〇円
ただし、総収入の三〇パーセント。
ヘ 年間純収入 金四六一、九七〇円
ただし、前記年間総収入から生活費を控除した残額。
ト 中間利息控除後の逸失利益総額 金三、〇四二、五五〇円
ただし、年五分の割合によるホフマン複式(年別)計算による。
(2) 慰藉料 金四〇〇万円
(3) 葬儀費用 金三〇万円
(4) 損害の填補
宮字めうの損害は、以上(1)、(2)、(3)の合計金七、三四二、五五〇円となるところ、強制保険から金四、九五八、二一八円が支払われたので、残損害は金二、三八四、三三二円となる。
(5) 原告政利の相続分
原告政利の法定相続分は六分の一であるので、金三九七、三八九円の損害・賠償請求権を相続により取得した。
2 原告政利固有の損害 金四九六、八六〇円
(1) 治療費関係 金一一六、八六〇円
イ 治療費 金四六、二六〇円(高野外科医院支払分)
ロ 入院雑費 金一八、六〇〇円(一日金三〇〇円、六二日間)
ハ 付添看護費 金五二、〇〇〇円(一日金一、三〇〇円、四〇日間)
(2) 慰藉料 金三八万円
3 原告ふさの損害 金五八五、六一三円
(1) 治療費関係 金一七二、〇〇二円
イ 治療費 金一一四、四〇二円(多田医院支払分金二、八二八円、高野外科医院支払分金一一一、五七四円)
ロ 入院雑費 金一八、六〇〇円(一日金三〇〇円、六二日間)
ハ 付添看護費 金三九、〇〇〇円(一日金一、三〇〇円、三〇日間)
(2) 休業損害 金一一三、六一一円
イ 事故時の年令 四八歳
ロ 職業 主婦
ハ 収入 一カ月平均五四、九七三円(一日平均一、八三二円四三銭)
ただし、昭和四七年度賃金センサス第一巻第一表の企業規模計女子労働者学歴計の所定内給与(一カ月金四四、五〇〇円―年間五三四、〇〇〇円)および年間賞与額一二五、七〇〇円の平均月額。
ニ 休業期間 昭和四九年三月二五日から同年五月二五日まで六二日間。
(3) 慰藉料 金三〇万円
4 原告景子の損害
(1) 治療費関係 金五四六、〇六八円
イ 治療費 金四四六、八六八円(多田医院支払分金二、一二八円、高野外科医院金四四四、七四〇円)
ロ 入院雑費 金一八、六〇〇円(一日金三〇〇円、六二日間)
ハ 付添看護費 金八〇、六〇〇円(一日金一、三〇〇円、六二日間)
(2) 慰藉料 金三〇万円
(3) 損害の填補
原告景子の損害は、以上(1)、(2)の合計金八四六、〇六八円となるところ、強制保険から金五三一、八五八円が支払われたので、残損害は金三一四、二一〇円となる。
5 弁護士費用
原告らは、札幌弁護士会所属弁護士能登要、同今崎清和に訴訟代理人となることを委任し、同弁護士らに対し札幌弁護士会報酬基準の範囲内の金三五万円を手数料として支払う旨約し、その負担内訳は原告政利金二〇万円、同ふさ金七万円、同景子金八万円とした。
(四) よつて、原告らは、被告に対し、各損害合計金および弁護士費用を除いた金員につき事故後の昭和四九年七月三一日(訴状送達の日の翌日)から完済に至るまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を支払うよう求める。
二 請求原因に対する認否
(一) 請求原因(一)の事実中、1ないし5の事実は認める。6の事実中、原告ふさが、めうおよび他の原告二名を被害車に同乗させ、同車を運転して帯広方面より釧路方面に向つて走行中、センターラインを越えて対向右側車線(加害車の進行車線)に進入したこと、加害車の前部が被害車の左側面に衝突したことは認めるが、その余の事実は争う。現場は片側一車線ずつの補装道路であるが、被害車は先行車を追越そうとして急にセンターラインを越えて対向車線に進入し、加害車の進路前面に現われたため、田中は急ブレーキをかけたところ、ブレーキは有効に作動し、車輪の回転を停止し、スリツプ中、進路前面に横になつた被害車左側面に衝突したものであり、加害車のスリツプ痕は右側一九・五メートル、左側二〇・五メートルであるが、被害車のスリツプ痕はなかつた。したがつて、本件事故は、原告ふさが運転を誤り、対向車が接近してくるのにセンターラインをこえて対向車線に進出し、対向車の進路を妨害した過失によつて生じたものであつて、加害車には過失がない。7の事実中、(1)の事実は認め、(2)、(3)、(4)については、原告らが傷害を受けたことは認めるが、その部位、程度、加療経過は不知。8の事実は認める。
(二) 同(二)の事実中、田中が被告会社の従業員であり、被告会社が加害車の保有者であることは認めるが、その余の事実は否認する。
(三) 同(三)の1の事実中、(4)の事実および(1)の事実のうちの年令、余命年数は認めるが、その余の事実はすべて不知ないし争う。めうは、老令で無職、無収入で、原告政利から扶養を受けていたから逸失利益はない。2、3、4の各事実は不知。ただし、4のうち(3)の事実は認める。5の事実中、弁護士に委任したことは認めるが、その余の事実は不知。
三 抗弁
(一) 免責の主張
加害車には構造上の欠陥がなく、機能上の障害もなかつたし、被告および田中は本件自動車の運行に関して注意を怠らず、事故は被害車の運転者の過失によつて生じたものであるから被告に責任はない。
(二) 過失相殺の主張
1 本件事故は、被害車を運転中の原告ふさが自動車の運転を誤り対向車が接近しつつあるのにセンターラインを越えて対向車線に進出し、対向車の進路を妨害した過失によつて生じたものである。
2 原告政利は、被害車の保有者であるが、車両を購入して三日目で全然運転の練習をしておらず、車の構造機能に注意を払わず、約五〇キロメートル運転の練習をした程度で未だ運転に不慣れの原告ふさにこれを運転させ、帯広から釧路まで夜道をかけて一二〇キロメートル余を運行させようとしたために本件事故が発生したもので、自動車の運行に関し注意を怠つた過失がある。
3 原告景子は、五歳の幼児で両親たる原告政利、原告ふさに監護義務があるところ、両親には右過失があり、これによつて本件事故を生じ、原告景子に被害を生じたものである。
4 したがつて、仮に本件事故の発生について加害車の運転者に何らかの過失があつたとしても軽微なものであり、被害車の運転者たる原告ふさ、保有者たる原告政利、原告景子の監護義務者たる両親の過失が大きいから、損害賠償額の算定にあたつては十分に斟酌すべきである。
四 抗弁に対する否認
抗弁事実はいずれも否認する。
第三証拠関係〔略〕
理由
一 昭和四九年三月二五日午後七時ころ、北海道十勝郡浦幌町字直別番外地国道三八号線路上において、被告が保有し、田中昇が運転する大型貨物自動車(旭一一あ五二八五号)(加害車)と原告政利が保有し、原告ふさが運転する小型乗用自動車(帯五五そ四一四七号)(被害車)とが衝突し、被害車に同乗していた宮字めうが即死し、運転者の原告ふさ、同乗者の原告政利、同景子が負傷したこと、右衝突は、被害車が帯広方面より釧路方面に向つて走行中、センターラインを越えて対向右側車線(加害車の進行車線)に進入した際に発生したもので、加害車の前部が被害車の左側面に衝突したものであることについては当事者間に争いがない。
二 そこで、本件事故の原因について検討する。
(一) まず、原本の存在および成立に争いない乙第一、第二号証、原告ふさ、同政利各本人尋問の結果によれば、次の事実が認められる。
1 原告ふさは、昭和四六年一二月に普通免許を取得し、本件事故当時まで約五万キロメートルの運転経験を有していた。
2 被害車は、右ハンドル、後輪駆動の「トヨタスプリンター一二〇〇」の新車であり、原告ふさの夫である原告政利が昭和四九年三月八日帯広市内の株式会社トヨタオートから買受けたものであるが、右販売会社より原告らが実際の引渡を受けたのは本件事故より五日前の同月二〇日であり、本件事故当日までの走行距離は、引渡時における販売会社から原告ら宅までの間の三ないし四キロメートルであつた。
3 原告ふさは、従来前輪駆動車(「スバル」)を運転していたが、事故当日、本件被害車を試運転した際、ハンドルが軽く、右に曲り易い気がしたため、前記販売会社に赴き、係員に試乗してもらつたところ、同人から、「後輪駆動車ではこのようなものだ。」との説明を受けた。
4 原告ふさは、その後、午後五時二〇分ころ、被害車を運転し、助手席に原告政利、後部座席の運転席の後に原告景子、助手席の後にめうを同乗させ、原告ら肩書住所地を釧路市に向つて出発し、途中原告ふさの勤務先に立寄り清涼飲料水「ピロビタン」のビン詰五〇本ほど積み込み、再び発進した。
5 原告ふさは、最初の出発点から十数キロメートルの地点(白人)付近に至つた際、ハンドルが右に引かれるように感じ、タイヤのパンクを疑い、一旦降車して原告政利と共にタイヤを点検したが、異常が認められないため再び発進し、事故現場付近に至つた。
6 本件事故現場は、右降車地点から約六〇キロメートル進んだ所であり、被害車の進行方向からみてゆるやかな左カーブが終り直線路に入つた地点であるが、幅約八・五メートルのアスフアルト舗装路で片側一車線であり、ほぼ中央に白色の中央線がひいてあり、歩車道の区別、路側帯共になく、アスフアルトの外縁から約一メートルの段差の芝生の斜面となり、草原に続いている。
7 本件事故当時は、積雪が道路脇に少量ある程度で路面にはないが、みぞれが降つており濡れた状態となつてた。被害車の約四〇ないし五〇メートル前方には先行車が一台あつたが、交通量は多くなかつた。
8 原告ふさは、時速約五五キロメートル(制限速度は時速六〇キロメートル)で走行していたが、前記カーブが終るころに、被害車が中央線を右側に一ないし二メートルほど越えて走りはじめているのに気づき、また原告政利からも注意を受けたので、左側に寄ろうとしたが思うように左側に寄らず、なお強くハンドルを左に切つたら走行車線内に戻つたものの、ハンドルをゆるめると右側へ寄りはじめるという状態で、これを二、三回くり返したため被害車は蛇行する形となつた。しかし、最後にゆるやかに走行車線に戻りはじめたところで、被害車は突然右斜前方に進行し、対向車線に飛び出し、対向車線の右端に至り、ほぼ真横に右側を向いた形で停車した瞬間、加害車の前部中央からやや左寄り部分が被害車の左側面の前ドアと後ドアの中間のセンターピラー付近に衝突し、そのはずみで被害車は右斜後方に約八・八メートル飛ばされ、路外の草地にほぼ道路側を向く形で大破して止まつた。
(二) 一方前出乙第一、二号証、証人田中昇の証言によれば、次の事実が認められる。
1 田中昇は、昭和四一年八月大型第一種免許を取得し、以来被告会社等において魚、雑貨等の運送の業務に従事していた。
2 加害車は、大型保冷車(一〇トン積)であり、エアーブレーキがついており、タイヤ(スノータイヤ)は一〇本装置され、本件事故当時の積載量は一トン半ないし二トンであつた。
3 田中は、前夜に旭川市を発ち、約六時間半かかつて、事故当日午前八時半ころ釧路市に到着し、午前中約三時間、午後約四時間睡眠をとり、午後五時四〇分ころ釧路市を出発し、旭川市の被告会社に帰るべく、事故現場付近を帯広方面に向つて進行中であつた。
4 田中は、加害車を時速約五九キロメートル(制限速度は時速五〇キロメートル)で運転中、前方約一九〇メートル前方を対向して、しかも、ウインカーを点滅することなく、中央線をオーバーして走行してくる被害車を認め、危険を感じブレーキを踏みながら車を左側へ寄せたところ、被害車がゆつくりと自らの走行車線(加害車からみて対向車線)に戻つたため、加害車を本来の走行位置に戻したところ、被害車が加害車の前方約三〇メートルないし四〇メートルから突然中央線を越えて進路前方に飛び出してきたため、ハンドルを左へ切りつつ急ブレーキをかけたが間に合わず、道路左端において前示のごとく被害車に衝突してしまつたものである。
(三) なお、証人神清の証言によれば、加害車のスリツプ痕は衝突地点までが約一一・五メートル、衝突後停車位置までは約三・五メートルであり、被害車のスリツプ痕は判然としないことが認められる。
(四) 以上の事実経過を総合すれば、本件事故は、明らかに、本件被害車が突然中央線を越えて左前方に飛び出したことによるものであるが、その原因については、被害車に構造上ないし機能上の欠陥があつたか(本件訴訟資料に顕われた限りにおいてはその疑いを払拭し切れない)、もしくは原告ふさが購入して間もなくでありかつ不慣れな後輪駆動車である本件被害車の運転を誤つたかのいずれかであるか、あるいはこれらが競合したことによるか、今直ちに断定することは困難であるが、いずれにしろ、対被告会社との関係においては、原告側にその原因があることは明らかといわなければならない。特に、原告ふさは、本件事故の直前に、被害車のハンドル操作について再三にわたり異常を感じながら敢えて運転を開始し、あるいはこれを続行した点において、注意を欠いたことは明らかであり、これが本件事故の一因となつたことも明らかである。もつとも、当時、田中が法定制限速度をオーバーして運転していたことは前示のとおりであるが、右の事実経過からすれば、仮に速度違反がなかつたとしても(余程の低速度でない限り)とつさの措置により本件事故を回避することは至難のわざというほかなく、また、運転者に対し、対向車線からの本件のごとき飛び出しを予想した低速度運転を強いることは酷に失しよう。したがつて、右速度違反の事実をもつて本件事故の原因と目することは当を得ないものというべきである。右認定に反する証人神清の供述部分は直ちに採用しがたく、他にこれを覆えすに足りる証拠はない。
三 そして、証人田中昇の証言によれば、被告会社および田中は、本件加害車の整備、点検、運行日程あるいは実際の運転等、その運行にあたつて注意を怠つていなかつたこと(なお、速度違反の事実が本件事故の原因でないことは前示のとおりである)、また、加害車に構造上の欠陥または機能の障害がなかつたことはいずれも明らかである。
四 そうだとすれば、その余の点を判断するまでもなく、原告らの本件請求はいずれも理由のないことが明らかである。
よつて、原告らの本訴請求をいずれも棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 石垣君雄)